「奏でたい音楽」に近づいていくことが、「上手くなる」ということ

よく生徒にもSNSでつながっている中高生にも、「上手くなりたいのですが、どうすればいいでしょうか?」という相談をされることがあります。「上手くなりたい」という気持ちは大事ですし、その気持ちがあってこそ、日々向上していけるようにも思います。でも、具体的に「上手くなる」というのはどんなことなのかを問いかけてみると、答えに困ってしまう人も少なくないような気がします。

では、どうしたら「上手くなった」という達成感を得ることができるのでしょうか。

これも人それぞれだとは思いますが、中高生と話していて感じる「上手い人」の特徴としては、


高い音が出せる
指が速く回る
良い音色が出せる
タンギングを速くできる


など、つい技術的なことだけに目がいきがちなような気もします。

確かに、技術的に優れていることは素敵なことです。どんなに頭の中に「奏でたい音楽」があったとしても、それを実現するための技術を持ち合わせていなかったとしたら、表現することはできません。しかし、技術をマスターすることだけが目的になってしまい、技量の競争のようになってしまっても、音楽というよりは「職人芸」のようになってしまう気もしますし、練習をする上でも、「これができないからダメだ」とダメ出し練習に陥り、息苦しくなってしまうこともあるように思います。

「上手くなる」ということ。
それは結局、「奏でたい音楽に近づけるか」ということのような気がします。


奏でたい音楽があって、それに必要な技術を磨いていく。その流れをつくることで技術を磨く意味が生まれ、ともすると退屈になりがちな反復練習も、前向きにとらえることができるようになるようにも思います。常に「奏でたい音楽」が先にあること。それはどんな本番でも同じように思います。


しかし一方で、「奏でたい音楽」は、ある程度経験を積むまではなかなかイメージしにくいこともあるかと思います。もしかしたら、「奏でたい音楽」が自ら湧いてくるまでは、技術的なことに注目したり、とりあえず先輩や先生の言う通りやってみたりすることも必要かもしれません。たくさん音楽を聴いて、自分の中にある音楽の可能性を広げていくことも大事だと思います。

それだけに、指導をする側は自分の「奏でたい音楽」を明確に持っていて、それを実現するために必要なことを具体的に分かっている必要があります。

生徒が一方的に「やらされる音楽」ではつまらないですが、どうしたらより音楽的に奏でられるのかをきちんと伝えていける指導者になりたいものです。


コンクールも同じです。金賞を目指した結果、奏でたい音楽に近づけたり、その結果金賞が取れたりするのだと思います。賞と音楽が切り離されて、“減点されないように”整えた演奏をするのではなく、誰に対しても説得力のある演奏を目指して“加点したくなるような”音楽のある演奏をしたいものです。


「審査員席に届くようにしっかり吹け」
「減点されないようにミスはするな」


コンクール前に割とよく耳にする言葉です。言いたくなる気持ちは分からなくもないのですが、音楽ってこんなに窮屈なのかと感じてしまいます。審査員のためだけに、ミスのない完璧な演奏を目指すことが、本来の音楽の在り方なのでしょうか。「お客様に喜んでもらえる(加点してもらえる)ような演奏を目指す」ではダメなのでしょうか…。甘いと言われればそれまでですが、どうしてもそこが自分の中で譲れないところであったりもします。

と、こんな感じで指導をしているので、「先生はコンクールで何を目指しているのですか?!」と怒られてしまうこともあるのですが、私ももちろん上は狙っています。だからこそ、やっぱり音楽にこだわりをもってやりたいし、減点法ではなく加点法で、奏でたい音楽に近づいていくためにできることを考えてやっていきたいと思います。

これからもまた頑張らないとです。



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