「ワクワク大作戦」から学ぶこと② ~青学大 原晋監督の取り組みから~

一昨日の「報道ステーション」スポーツコーナーにおいて、先日箱根駅伝で初優勝した青山学院大学陸上競技部長距離ブロックが特集されていたので思わず見入ってしまいました。

先日のブログ(http://rapparapa.at.webry.info/201501/article_3.html)にも書いたように、原晋監督の指導方針、選手を指導する姿勢からは改めて大変学ぶことが多いように思いました。ここでは、前回あげたことに加えて、さらに気づいたことをいくつかまとめておきたいと思います。


④学生を信じ、一人ひとりの「自主性」を引き出すこと
例えば目標設定と振り返り一つとってみてもそうです。一人ひとりに目標を立てさせ、それについてグループに分かれて討議するということを、当初は監督も立ち合った上でやっていたそうですが、徐々に学生のみで運営するようになり、今では4年生を中心に学生たちが主体的に取り組むようになったそうです。

学生たちはなぜ、自主的に運営するようになったのでしょうか。

それは、その取り組みが意味のあるものであり、自分たちにとって必要であるということを身をもって実感することができたからだと思います。そして、トップダウン式の目標を与えられるのではなく、自分自身で達成可能な目標を考え、それを一つひとつクリアしていくことでより高い目標へと近づけるように、自分た
ちの手で考え抜いたからだと思います。

これは、指導者が選手一人ひとりのことをよく観察し、的確なアドバイスをしつつも、それに従わせるのではなく、信頼し、相手が食いついてくるまで待つ、ということができて初めて成立することのように思います。

言葉にすると簡単なようですが、実際にやってみると難しいことだったりもします。普通ならばここで「待つ」ことができずに、ついつい口出し、手出ししたくなる指導者が多いように思うからです。

吹奏楽の世界でも、「実力校」とよばれる学校は、生徒たちがとても自主的に練習を進めている印象があります。生徒一人ひとりが自分のすべきことを分かっていて、それを自分の力で解決しようという力がついているような気がします。

言われたことを黙々と素直にやり続けられることもすごいことですが、「なぜ自分は今それをやっているのか」「自分がしたいことは何なのか」ということを明確に意識した上で試行錯誤しながら努力を続けることができるように、指導者は「どこで手を放すか」ということを常に頭に置きながら、指導にあたる必要があるのではないかと思いました。


⑤慣習をやめ、良いと思ったことは積極的に取り入れること
今年度から青学陸上部は、新たにコーチやトレーナーをつけ、陸上界では常識である腕立て伏せなどをやめ、代わりに「体幹トレーニング」を取り入れたといいます。5区で“新・山の神”と称えられた神野選手も、このトレーニングのお陰で記録が伸びたところは大きいとインタビューに答えていました。

このように、「常識だから」「慣習だから」「伝統だから」といって、その意味を考えることなく行う練習は、根性をつけるにはいいかもしれませんが、中には練習効率や目的意識を下げてしまう結果につながるものもあるのだと思います。

もしかしたら50年後、「体幹トレーニング」はもう古いと言われるかもしれません。でも、良いと考えられることを積極的に取り入れ、効果の上がったものについては次の世代へと引き継ぎ、あまり効果が期待できないものについては廃止するというサイクルをつくっていくことは、単年度ではなく、長い目で見てチームを鍛えることにもつながると思います。

吹奏楽の世界でも同じです。「腹式呼吸」という言葉が最近見直されるようになってきましたが、先輩から引き継がれてきたことの中には、「とにかくうちの部活の伝統だから」といって意味を生徒一人ひとりがきちんと理解しないまま続けていては、練習の効果が高まることはありません。

「伝統は、壊しながら新しくつくり出していくもの」

学生チームは毎年メンバーが変わります。だからこそ良いところは大切に守りながら、より良い方法を模索して、そのメンバーに最適の方法を見つけ出していく創造力が指導者には求められている気がします。


⑥笑顔を忘れないこと
「ワクワク大作戦」の名前の通り、青学の選手は時折苦しそうな表情を浮かべながらも、笑顔が印象に残る走りをしていたように思います。ゴール地点で最終ランナーの安藤選手が飛び込んでくる時にも笑顔がまぶしかったですし、その後のTV出演や報告会でも常に笑顔が目立っていたように思います。そして、見ている人をドキドキ、ワクワクさせるようなレース展開(往路での抜きつ抜かれつの攻防戦から逆転優勝、復路では区間賞連発の圧倒的な優勝)をしてくれました。

駅伝は確かに泥臭いスポーツかもしれません。苦しい中を耐えて走り抜いた者だけが栄冠を手にすることができる、そんなスポーツなのかもしれません。でも、選手たちが「走ることが心から楽しい」と思って、「楽しいから頑張る」というプラスの思考でいけるかどうかは、卒業後も視野に入れた長い目で見た選手育成のためには大切なことのように思います。せっかく育て上げた選手たちを「燃え尽き症候群」にしてしまっては、もったいないと思うのです。

吹奏楽でも同じことが言えます。確かに地道な練習を続けなければ上手になることはありません。結果を残すためには、泥臭く頑張ることも必要なことです。でも「コンクールで金賞を取るために練習する」というだけになってしまっては、本当に音楽の楽しさを知らないまま機械的に練習するだけで終わってしまいますし、生涯の友ともなることができる音楽を、あっさりと辞めてしまうことにもつながりかねません。

「楽しむ」というと、「甘い」「チャラい」などと思われてしまうかもしれませんが、「上手くならなきゃ面白くない」し、「楽しくなければ音“楽”ではない」と思うのです。「楽しいから奏でる」「楽しいからもっと上達したいと思う」というように、プラスの動機があってはじめて、厳しい練習を乗り越えて、真の楽しさにたどり着くことができるのだと思います。


今回の青学初優勝は、“叱咤激励して「たたき伸ばす」スパルタ根性論の時代の終焉”とも呼べるような気がします。神野新キャプテンを擁しての新シーズンも「ワクワク大作戦」で頑張って欲しいなと思うばかりです。

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